
ヘンドウ金利って恐ろしい!?
全期間コテイの住宅ローンとヘンドウの住宅ローンの
最初の1年の金利差が1%だとすると、3,000万円の借入では
30万円の差額です。それでも後が不安な方もいるでしょう。
今回は、そんな後々が心配だと思う方
のため、目安を調べてみました。
◆◇ ◆
◆◇ ヘンドウ金利が恐ろしいとしたら、どんな場合か?
まず、現在の金利水準はどうなのでしょう?
預金金利をみればよくわかると思いますが、
皆さまご存じのとおり、非常に低い金利水準です。
ということは、時期は別として、金利はゆるやかに上っていくる
確率は高そうですね。
◎3,000万円を35年返済で組むと仮定し、2つの例で検証してみましょう。
※細かい数字を読むのが面倒な方は「検証の結果」へ。
◆例1、フラット35(全期間固定、2.8%)
利息総額 : 約1,709万円
団信保険料: 約 183万円
保証料 : 約 0万円 コスト合計:約1,892万円
注)金利は、どこでも同じではなく、取扱い銀行によって異なります。
◆例2、民間銀行(変動、2.375%、5年ごとに0.50%づつ金利上昇と仮定)
利息総額: 約1,719万円
団信保険料: 約 0万円
保証料: 約 0万円 コスト合計:約1,719万円
(キャンペーン3年間1%、その後0.4%優遇として算出)
注)団信保険料、保証料負担なしとした場合で算出しています。
変動の場合金利は半年に一度変更になりますが、返済額は5年間変わりません。
ここではわかりやすく表記するため、3年後、8年後に返済額が変わるところを、
3年後、5年後、10年後に返済額を変更する形で計算しています。
◆◇ ◆
◆◇ 検証の結果…
コストの低い順に
民間ヘンドウ < フラット35 でした。
例2ヘンドウと例1フラット35の差額は、約173万円です。
結構な差額に思えますが、
35年という長期で考えると年間で49,428円、
1ヶ月あたりにすれば、4,119円の差ということになります。
ちなみに、例2の
31年目からのヘンドウ金利は4.975%(0.4%優遇後)です。
そんなに上がるとはとても思えないと考える方は、
さらにヘンドウ選択派といえるでしょう。
なーんだ、それくらいの差額かと思われる方は
安心安全の固定を選んだほうがいいに決まっていますね。
…と考えがちですが、当初の返済額が、
結構、違うから悩ましいところです。
例1と比べて、当初の年間の返済額は、約33万円、
4年目から変動金利に変更になると、約17万円
例2のヘンドウのほうが少なくなります。
差額は3年で99万円、5年では133万円、
………だんだん、迷ってきますね。
☆☆☆…ちょっと待った…☆☆☆
「先ほどの例2は、5年ごとに0.5%の上昇でしょ、
もっと上がるでしょう!」
とお考えの方の声が聞こえてきますので、さらなる検証をしました。
◆例3、民間銀行
(変動、2.375%、5年ごとに0.75%づつ金利上昇と仮定)
11年目から: 3.475%、21年目から:4.975%、31年目から:6.475%と推移。
利息総額: 約2,081万円
35年間の平均金利: 4.2%強
(キャンペーン3年間1%、その後0.4%優遇として算出)
注)団信保険料、保証料負担なしとした場合で算出しています。
変動の場合金利は半年に一度変更になりますが返済額は5年間変わりません。
ここではわかりやすく表記するため、3年後、8年後に返済額が変わる所
3年後、5年後、10年後に返済額を変更して計算しています。
ここ10年は、大体2%台の金利ですので
まったく想像がつかない方もいると思いますが、
4%平均の金利は決して不思議な数字ではありません。
過去20年の平均でみると、
もっとも金利が低い公庫の基準金利でさえ、
ちょうど4%ぐらいですので、民間銀行は当然それ以上となります。
「いやいや、まだまだ、危ない! さらにバブル期並まで
金利上昇するリスクも考慮すべき」
という方のために、次もどうぞ。
◆例4、民間銀行
(変動、2.375%、5年ごとに1.0%づつ金利上昇と仮定)
11年目から:3.975%、21年目から:5.975%、31年目から:7.975%と推移。
利息総額:約2,465万円
35年間の平均金利:5.0%弱
(キャンペーン3年間1%、その後0.4%優遇として算出)
注)団信保険料、保証料負担なしとした場合で算出しています。
変動の場合金利は半年に一度変更になりますが返済額は5年間変わりません。
ここではわかりやすく表記するため、3年後、8年後に返済額が変わる所
3年後、5年後、10年後に返済額を変更して計算しています。
このあたりの水準になってくると、悲鳴が聞こえてきそうな気もします。
実に、返済開始時と返済終了時の年間返済額の差は、
84万円弱となります!
ここまでくれば、もはや、コテイ金利を羨み、
ヘンドウを選んだ自分を後悔することになりそうです。
ズバリ、これが『ヘンドウ金利の恐ろしさ』でしょう。
◇◆◆
◆◇◇ ヘンドウ金利を選ぶ人
◇◇◆
例2の水準を極端に上回る可能性は低いだろうと考える方は、
金利情勢をにらんだ上で、ヘンドウ金利を選択しても
よろしいでのではないでしょうか。
一方、例3の水準まではいくでしょう、と考える方は、
コテイ金利を選んでおいた方が無難かもしれません。
例4まで金利が上がったら、人生を悲観してしまうに違いない
と思われる方には、ヘンドウ金利はおすすめできません。
◇◆◇◆
◇◆◇ 金利上昇リスクへの対応
金利が上がった場合における
ローンの返済苦におちいる恐怖を想像する前に、
金利上昇リスクに対応できる
策を講じておきましょう。
具体的には「金利が上昇した時にリターンが
高くなる傾向がある金融商品」を持っておくことです。
元本割れリスクもあるでしょう、
しかし、ハイリスク商品をまとめて買いましょう…
と言っているのではありません。
貯蓄の一部に、
そういう商品ももっておけば、
金利上昇リスクに対しても対策を講じているので、
不安におびえながらの生活ではなくなるでしょう。
…もし、最悪の事態になったら?
不幸にして返済苦になったとしても、金融機関に相談して、
とりあえず金利分だけでも払っていくような返済計画に、
当面変更することで、
住んでいる家をすぐに取られてしまう
ような事態は避けることができます。
◇◆◇◆
◇◆◇ 金利上昇を克服する手段があるとしたら・・・?
ヘンドウ金利について金利上昇がおこった場合に恐ろしい
例をいくつか挙げましたが、リスクを回避する例を検証してみます。
先の例の《年間返済の差額》を、
毎年「くりあげ返済」として実施したら、
はたしてどうなるでしょう…?
※ただし、以下の条件調整を行い、1年間のくりあげ返済額を40万円とします。
1.団信保険料分の負担がないため、8万円プラスします。
2.くりあげ返済手数料、1万円をマイナスします。
●検証1:例1と例2の返済額の差額である33万円に上記調整を行い
3年目まで毎年40万円、
4〜5年目まで24万円、
6〜10年目まで16万円を繰り上げ返済
☆検証の結果☆
金利上昇により、返済額がフラット35を上回るのは、15年後からとなります。
当社10年間で、くりあげ返済できる額は、248万円です。
これによる返済期間短縮は、実に54ヶ月分にもなります。
なんと!ローンが
4年半以上短くなる・・・!
しかも、支払い利息の差額は
430万円以上少なくなります。
●検証2:例1と例3の返済額の差額である(金利上昇率拡大)
3年目まで毎年40万円、
4〜5年目まで24万円、
6〜10年目まで12万円を繰り上げ返済
☆検証の結果☆
金利上昇により、フラット35を上回るのは、10年後からとなります。
この10年間で、くりあげ返済できる額は、228万円です。
これによる返済期間短縮は、実に56ヶ月分にもなります。
それでもなんと!ローンが4年8ヶ月も短くなる・・・!
支払い利息の差額は553万円弱になります。
これ以上の金利上昇となるとバブル経済期の金利水準となります。
そう、定額貯金が6%だった時代です。
が・・・。
定額貯金が6%になる気がしないので、検証はここまでにしておきます。
◇◆◆
◆◇◇ 金利上昇対策として、金融商品を選ぶなら
◇◇◆
国内金利に連動する金融商品には、何があるでしょうか?
例えば、証券会社に口座をお持ちの方には、おなじみのものですが、
預貯金のように利用している「公社債投信」などの
投資信託はどうでしょうか。
このような商品は運用対象に株式を組み入れていません。
安全性は高いのですが、反面、リターンも住宅ローン金利の上昇リスク
をヘッジするほどの効果は期待できるとはいえないでしょう。
一方、金利が上昇した場合、
景気も良くなっていることが想定されるので
株式が含まれている投資信託や、ETFなどを
金融資産の一部に入れておくことは、
かしこい選択の1つだと思います。
※プロに学びながら運用を始めていきたい方、資産運用サポートパックをオススメします。
♪♪♪♪ 〜 ヘンドウ金利は、恐ろしくなかった!
検証の結果をご覧になっていかがでしたか?
ますますヘンドウ金利が不安になった!
…という方はいらっしゃいませんよね?
さらに住宅ローン減税分も含めて
くりあげ返済を行うことによって
もっと返済期間を短縮する
ことも可能です。
これからヘンドウ金利を選択される方、
ローンの選択肢にヘンドウ金利しかない方、
悲観せずに自信をもってローン返済に取り組みましょう。
きっと完済する日が来ることが待ち遠しくなることでしょう。
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