
『12月のくりあげ返済』はタブー?
12月でボーナス月や年末調整ということもあり、12月にくり
あげ返済を予定している方が多いようですね。
ところで皆様は、「住宅ローン控除」という制度はご存じでしょうか?
カンタンに言うと、住宅ローンを組んだ場合、
納めた税金が返ってくる制度です。
細かい条件は色々あるのですが、今回は「『年末』のローン残高の
一定割合(1%など)が返ってくる」ということだけ、事前知識として
覚えておいてください。
◆◇ ◆
◆◇ ローン控除を受けている人はチョット待った!
さっそく結論からいきましょう。
現在「住宅ローン控除」が適用されている人で、
ボーナスの出る12月にまとまった金額(仮に300万円としましょう)
のくりあげ返済をしようと考えている方は、早まらないでください。
できれば「年明けのくりあげ返済」を検討してください。と言うと、
「えっ、1ヶ月はやく繰りあげ返済をした方が、
1か月分の金利をトクするじゃない。
どーして年明けまで待たなきゃいけないの!」
と、反論する方がいるかも知れません。
確かに、例えば年2.4%のローンを、
300万円分だけ、1ヶ月早く返せば、
2.4%÷12=0.2%、6,000円相当の金利が浮きます。
しかし、ここ数年で家を買って
1%の住宅ローン控除を受けている方は、
年末のローン残高が300万円減った分、
規定どおりに計算すると、戻ってくるお金が、
300万円×1%=30,000円も減ってしまうのです。
つまり、
30,000円−6,000円=24,000円も損をしてしまうのです。
あなたの財布の中の、福沢諭吉さんが泣いています…。
もし24,000円も余計なお金があったら、あなたは何に使いますか?
◆◇ ◆
◆◇ では、実務上はどうなっているの?
金融機関が発行する
「残高証明」(ローン残高を証明する書類)は
年末よりもずいぶん前に送られて、それをもとに
年末調整での還付(税金が戻ってくる)手続きをします。
そのため、12月にくりあげ返済をすると、
実際の年末のローン残高が、書類上の年末のローン残高よりも
少なくなることがあります。
すると、いったいどんなことが起こるのか?
例えば300万円をくりあげ返済した場合、
その1%にあたる3万円分は過剰に戻ってきてしまう
ということになります。
「ラッキー! それは得したわ」
…と思うことなかれ。実は追徴金が発生します。
最初にお話したとおり、
そもそも住宅ローン控除は「12月31日時点」で
残っている住宅ローンの金額が対象になっているからです。
念のため、この講義を始める前に
東京国税局に電話で確認したところ、
「ツイチョウキン」というお答えを頂きました。
すべてのケースで追徴金の支払請求が来るとは
申し上げられませんが、面倒なことになる可能性があるなら、
年が明けた1月に堂々とくりあげ返済をする方がいいでしょう。
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